実家の近所にあった、日産村山工場の跡地が今では巨大なショッピングモールになっていて
そこには巨大な映画館(シネコンプレックス)がある。父が生前、最後に自動車に乗って出かけて
行ったのもその映画館だったという。
夕食を食べてからでも間に合い、車で出かけられるその映画館のレイトショーで
『アマルフィ 女神の報酬』を観た。
キャスト陣がベタな感じで、もろにフジテレビ的な感じなのでDVDが出てからでと思ったのですが
結論から言うと、映像と音にスケール感があり、映画館で鑑賞するのがふさわしい映画です。
ストーリーは、まあ、突っ込みどころが満載で、荒唐無稽なのですが、そこで冷めてしまわずに
素直に全編イタリアロケの映像の美しさと、サラ・ブライトマンの歌声に身を浸すのが吉です。
「冷静と情熱の間」でもそう感じたけれど、日本のテレビクルー達って本当に上手に
イタリアを撮るよね。空撮とかも惜しみなく使うし、なんというかイリュージョンがあるのです。
子供が誘拐されている日本人女性が天海祐希というキャスティングも正解だと思うし
劇中、一度も笑ったりしない織田裕二のキャラクターも格好良いです。
ひょっとすると、本国イタリアで封切られても、結構評判になるんじゃないかと思いました。
もちろん、日本でもロングランヒットの予感がする、割とおススメの映画です。
あと、アマルフィなんてこれまで日本ではそんなに注目されていなかったけれど
これからは、観光客も増えるんでしょうね。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
神田 神保町 古書街
車の車高が低く沈み込んでしまうほど、父の蔵書(おもに画集)を積んで神保町へ
目指すは美術書を専門に扱う源喜堂書店
さすがにスタッフは中々の目利きで、的確な評価を下してくれたほうではないだろうか。
ただ厳しい現実としては、ほとんどの美術系の雑誌はタダにしても引き取ってくれなかったこと
美術手帖や、へるめす、みづゑ、太陽などの名雑誌の数々を源喜堂さんすら
「いやー、もう本当に流通しないんですよ。」と言うのならば、あとはゴミ捨て場ですか。
哀れ「知の資産」、現実には「負の遺産」(ラップ調に♪)
この古書街自体がなかなか厳しい状況みたいでした。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
絵の具のにおい
今日の東京は朝から小雨がぱらつき、すごい湿度でちょっと動くだけで汗が滴になって落ちる。
昨夜は父の部屋をコツコツと片づけながら、父の絵に囲まれるなか布団を敷いて眠りについた。
父をも見送って100日も過ぎたのに、一度も父の夢をみない。みているけれど忘れるのだろうか。
時差ボケで夜中に目を覚ますと、闇の中で父のにおいを感じた。幼いころに肩越しに感じていた
油絵の具がしみ込んだ、父がよく来ていた水色のダンガリー・シャツのにおい。
本当のところ、それは彼が残したキャンバスが、夜の闇で呼吸をしているにおいだ。
麻布に父が塗りこんだ絵の具の植物性のリンシードオイルと揮発性のテレピンオイルのにおい
父は今、絵画になって呼吸している。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
父のアトリエを片づける。
時差ボケのせいで昨夜は夜九時くらいに失神するように眠り、朝の四時半くらいには目覚めた。
今日は日本では「海の日」の祝日で、父のアトリエを片づけるために親戚にも手伝ってもらった。
とくに今回のこの部屋の片付けに関しては、元自衛官であった叔父に大変助けていただいた。
もう素人では絶対に無理と思われたこの部屋、でも父の絵や画材、書籍などの遺品は取り分け
その他の「粗大ごみ」と認定せざる終えない家財などを、叔父は淡々と解体し、分別し、然るべき
方法で処分することを、僕がイタリアにいる間も淡々と進めてくださっていた。
おかげで、登れないと思っていた山の七合目くらいまでやってきた気分、残された滞在で
九合目までは行きたいと思っています。
←今日もそこにいてくださってありがとう。
「ニセ札」
ミラノから日本へ向かう飛行機の中ではよく映画を見るのだけれど、ちょっと異色で
印象に残ったのは、木村祐一(キム兄)が初監督したという長編映画「ニセ札」
僕は映画の存在は4月に新宿を歩いていたときに、封切館の前を通りかかった時に知り
そのときからちょっと関心があったのです。
実際の作品は昭和26年に山梨で実際に起きた戦後最大の偽札偽造事件が
モチーフで、エンターティメントでありながらも硬派なメッセージが隠されています。
倍賞美津子が演じる清廉な小学校教頭が、偽札グループに加担していく姿がリアルで
脇を固める俳優の演技もなかなか、木村祐一も相変わらずの名脇役です。
撮影は京都の農村部を使って昭和20年代を再現していて、日本の田園風景特有の
湿度を含んだ緑が印象に残る、ちょっと変わった味の映画でした。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
トーキョー 20090718
ミラノ生まれ、ミラノ育ちの犬娘、ハンちゃん
お父さんは、お父さんが生まれた東京にいます。
ものすごい湿度と、ものすごい人波と、ものすごい街の轟音がします。
とても便利で刺激的な街だけど、草むらがないのでハンちゃんにはどうかなと、
いつもお父さんは考えます。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
パリ 20090716
午後のフライトでパリに飛び、細川牧師夫妻を訪ねました。
ご夫妻の旧知の、あるご夫妻(ローマ在住)がパリを訪問されているときに合わせて
是非私とそのご夫妻を引き合わせたいという、細川牧師の願いから実現した出会いでした。
一度でも出会った人を本当に大切にして生きている細川牧師の姿勢に、僕はいつも
「かなわないなぁ。」という尊敬の念を抱いています。良い機会をくださって感謝します。
この日のパリは夜に嵐になり、街路樹が倒れたり、路地が洪水になったりと
ちょっとした翌朝のニュースになるほどの夜になりました。
そんな中をkohbear君が牧師館まで車で迎えに来てくださり、
二人で深夜のオペラ座界隈のカフェに出向きました。
僕の電話中に人のカメラを勝手にいじっていたkohbear君にいつのまにか撮られていました。
そんな彼は、先月結婚したばかりなのに、今、奥さんが日本で、しばし独身に戻っています。
パリ郊外の彼の新居に、この日は寄せてもらい、明け方近くに眠りにつきました。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
犬の泣き顔
一つの仕事を終えてミラノに滞在しているとき、プライベートな時間で一番ほっとするのは
犬のハンナと公園をのんびり歩いているときでしょうか。僕にとってもハンナにとっても
そんな束の間の時を終えて、わが家に戻ってから犬のムスメに思い切って打ち明けてみました。
「お父さんはまた旅に出るよ。」lこの言葉を覚えたようで、途端に眉が八の字で涙目です。
うるうるうる。・・・いや、ホント僕もつらいのよ。うるうるうる。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
ミラノに戻れば
わが家の犬と猫が、首を長くして待ちかまえて待ってくれています。慰めと喜びの犬猫
お帰りなさいませー、旅人のご主人さま
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
マドリッド 20090713
マドリッドを去る日、国立ソフィア王妃芸術センターへYoshiheさんアテンドしてくださりました。
病院を改装したという、四階建ての美術館にはモダンアートの収集が充実していますが、
なんといっても目玉はパブロ・ピカソの「ゲルニカ」でしょう。
力強いメッセージが伝わってくる、ピカソの力作です。
生で作品に触れることができて感激です。
インスタレーションのためにも贅沢に空間がとられていて、見学には丸一日かかりそうです。
今回はさわりだけ。
タパスではビールのおつまみとして獅子唐の天麩羅が出てきます。
香ばしくて美味なのですが、時々激辛の「当たり」に出くわします。
夕刻、フェルナンドさんが運転する車で、ご夫妻に車でマドリッド空港まで送っていただき
ミラノへの帰路につきました。豊かな時間に感謝します。またお会いしましょう。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。