イタリア中部地震への祈り

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イタリア中部が2016年8月24日未明にマグニチュード(M)6.2の地震に見舞われたとき、僕はそこから150キロ離れたリッチョーネというアドリア海に面した街にいて、真夜中4時、突然の揺れに起こされました。

最近この街に引っ越したご夫妻を訪問して、そのお宅に寄せて頂いたのだけれど、この家の主のイタリア人は、その瞬間に津波を恐れて、家を出て外の様子を見に行ったのです。

おそらく東日本大震災以降、イタリア人(特に海辺に住む人々)の中には地震と津波がイコールになっているのでしょう。でも、翌朝の報道で津波の心配がないことがアナウンスされてからは、人々はビーチに出て余暇を過ごしているように見えました。

しかし、次第に被害の規模が把握されると、この地で過ごしていたわたしたちの心にも哀しみが拡がって行きました。こちらのテレビなどでコメンテーター達からは「なぜこの地震を予知できなかったのか。」というコメントも聞かれるようになりました。

2009年4月に300人以上の死者を出したイタリア中部ラクイラでの地震のあとは、科学者ら7人が「地震を予知できなかった。」ということで殺人罪で起訴され有罪判決が下されたことが大きな議論となっていました。

その後この裁判の被告であった科学者たちは控訴し、2014年に「地震は予知できない。」という逆転無罪判決を、やっとのことで勝ち取った経緯があるのです。

しかし、今現在はそのような責任論は次第に声を潜め、生存率が大幅に下がるとされる「発生から72時間」近づく切迫感が高まり「ひとりでも多くの人が瓦礫の下から救い出されるように。」という祈りのような思いが報道からも伝わってきます。

今(2016年8月27日零時)の時点では、死者は278名と報道されています。

僕自身も8月26日までリッチョーネにとどまり、祈りつつ、これから何をできるのか考えていました。ブログの写真は、地震の翌日の8月25日に、サンマリノ共和国の山に登り、被災地への想いを寄せてシャッターを切った一枚です。

今は、同じイタリアにいながらも、自分は無力だと感じてしまうことがあります。そんなときに「祈るしかないな。」と心の中で呟いてしまいます。

しかし今は確信していることは「祈りは、一番初めに来るべきだ。」ということです。「微力だけどなにかをしよう」と考える前に、「最善で力強い手段」である祈りを使いたいのです。

今僕は、イタリアのミラノに先ほど戻ってきていて「イタリア中部地震発生から72時間」を数時間後に迎えようとしています。イタリア時間の8月27日午前3時半(日本時間同では10時半)すぎに迫る中、こう祈ります。

この祈りは、災害救援チームCRASH創立者のJonathan Wilson によって、ハイチ地震の後に書かれた文書から教えられたものです。

1 奇跡を必要としている人のための祈り
救援チームが迅速に、瓦礫の下にいる人に到着する奇跡
救助犬が破壊微妙なに おいを感じ取ってくれる奇跡
生存者のちょうど真上にあるの破片が動かされる奇跡
救援チームはたくさんの訓練と努力を重ねながらも、この時ばかりは何よりも奇跡を必要としています。

2 救援チームのための祈り
チームメンバーたちは、度重なる余震の恐怖の中で絶えず任務に当たっています。
彼らが安全に作業をし、休息を得られるように、勇気づけられながら仕事ができますように。

3 被災者の心のための祈り
恐ろしい光景を見てしまった家族のために
愛する人のことを心配している人たちのために
自分自身の安全が心配でたまらない人たちのために祈ります。

4 子どもたちのための祈り
身体的には「元気」でも、慰めを必要としている子どもたち
抱きしめられて大丈夫だと安心させてもらう必要のある子どもたち
安全な環境を必要としている子どもたちのために祈ります。

5 イタリアのための祈り。
政府や決定権のある人が、知恵と正義をもって大切な決断をすることができますように。
また、ここに不正や悪が忍び込むとがなりように。

6 自分自身のための祈り
愛のない自分に、今すぐあわれみの心が与えられ、またその思いが大きくされていきますように。

日本でも、世界各地でもそうであるように、災害からの復旧には長い時間がかかります。今後、イタリアの教会連盟を通して、どのような支援が可能なのか情報を頂き、皆様にもシェアさせていただきます。

この長い拙文を最後まで読んでくださったあなたのうえにも、神様からの祝福と平安がありますよう、イタリアからお祈りしています。

投稿者:uttie|Comments (6)

コメント

  1. 日下優佳 より:

    どうやって祈れば良いのかヒントを下さってありがとうございます。

    祈りがまず初めに来るべきだ、というのは大変大きな意識の変革です。その事を思い出しては忘れて…という私に、また祈りの最強性に気づかせていただきました。神様の計らいに感謝します。

  2. やました@香港 より:

    Facebookから来ました。iPadに入れている祈りの課題表に加えます。
    1.miracles to reach those trapped in the collapsed buildings;
    2. rescue teams’ safety;
    3. healing upon those suffering psychic trauma due to the horrible sights;
    4. awareness of being protected to be given to children in distress;
    5. ‘Superior authorities’ will act with justice, wisdom and righteousness;
    6. our own transformation into a merciful being and augmentation of merciful soul to imitate Lord’s mercifulness.

    「あなたがたは、あちこちで地震と戦争のことを聞くでしょう」ー主の来臨が近いことを願う一方で、苦しむひとも多くなることを思うと、人に、自分に、上からの憐れみを請う執り成ししかできない・・・でもそれこそがやるべきことなのだと、気付かされました。

  3. サーレンス光子 より:

    今日、ウンブリアにいるイタリア人のご家族に心配していることと、お祈りしていることをメールしたところでした。
    先生の6つのお祈りの言葉をひとつひとつ心に刻みながら、今祈ります。日本帰省中に体験したことが まだまだ余震の中で不安にしめつけられるかたの気持ちにほんのちょっと、触れられるような気がします。 祈ります。

  4. マツモトヒトシ より:

    奇跡を行う力の有るお方に祈ります。

  5. taku より:

    伸さん シェアーありがとう! 地震当時、伸さんが、震源地150キロ近くにいたのは、偶然ではないですね。 御国がこの地に来ますよう祈ります。

  6. たくみ より:

    伸さん シェアー感謝します。無事に自宅に戻られ、主に感謝・・是非、また具体的にどのような支援が可能なのかシェアー願います。

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