スイスでの事故から5日間が過ぎた日曜日の朝
「今日こそ、ミラノに戻りたい。」という帰巣本能に近い願いが強くあった。
朝にここをレンタカーで出発すれば、午後からのミラノの礼拝に出席できる。
しかし、結局のところ健康状態(むち打ちの症状)や、残された事後処理(保険手続など)のため
引き続きここに留まることを決断しなければならなかった。
そのことを受け入れると、気が緩んだのか、少し哀い気持ちになった。
おそらく、無自覚にストレスを溜めこんでいたのだ。
自分の車(仕事で欧州を駆け回るための大切な相棒)が大破し、失われていること。
警察での手続きや加害者や保険会社と、外国人として交渉して、神経がすり減っていること。
今後、補償の問題などが、どのように収束していくのか?
体に、後遺症は残っていくことがあるのだろうか?
それらのことを思いめぐらしていたら、知らぬ間に気持ちがふさぎこんでいた。
でも、美しい山々を見上げ、祈っていたら、美しい歌が、言葉となって心に注ぎ込まれてきた。
【都上りの歌】
私は山に向かって目を上げる。私の助けは、どこから来るのだろうか。
私の助けは、天地を造られた主から来る。
主はあなたの足をよろけさせず、あなたを守る方は、まどろむこともない。
見よ。イスラエルを守る方は、まどろむこともなく、眠ることもない。
主は、あなたを守る方。主は、あなたの右の手をおおう陰。
昼も、日が、あなたを打つことがなく、夜も、月が、あなたを打つことはない。
主は、すべてのわざわいから、あなたを守り、あなたのいのちを守られる。
主は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。
そうだ、僕の助けは、目を上げると、いつもそこにある。
この素晴らしい大自然をつくられた神様が、これまでも僕を守り、穴から引き上げてくださった。
今までも、幾度となく倒れてきたが、その度ことばが与えられ、僕は起き上がることができた。
そう思うと、感謝の気持ちが溢れてきて、賛美の歌が唇に与えられていたのでした。
主は、あなたを、行くにも帰るにも、今よりとこしえまでも守られる。