今は、この文章をスイスのホテルで書いています。
Weggisという、ルツェルン湖畔の小さな町に滞在して今日で四日目になります。
ようやく、肩の痛みが和らいで、キーボードで文章を打つ気持ちになりました。
何もせず(出来ず)、湖やアルプスを照らす光の移ろいだけを眺め、夜は静寂に包まれ、
目を上げれば満天の星空、朝は鳥の声で目覚めます。
事の顛末ですが、3月4日にミラノを出発し、オランダ・アムステルダム日本語キリスト教会と
Vessemのオランダ南部日本語キリスト教会で礼拝メッセージを取り次ぐため妻と犬のハンナ
にも同行してもらって、欧州を北上していました。
その日はドイツ・シュトットガルトのホテルに泊まる予定でした。
夕刻、陽も沈んできた18:30頃、スイスのルツェルンを過ぎたあたりで
渋滞の最後尾にいたとき、後ろから前方不注意の車にノーブレーキで追突されました。
私たちは、全く前触れのないまま強い衝撃を受け、車は大破し、救急車で
スイスシュ・ヴィーツ州のspitalschwyzという病院に運ばれました。
犬のハンナも車の荷台のキャビンに乗せていたのですが、無傷でした。
(車の後部はひしゃげ、犬用のキャビンは破損していたので奇跡的でした。)
事故現場から警察によって、スイスの犬用収容施設に引き取られていきました。
追突してきた人の車は、事故の衝撃で原型をとどめていませんが
エアバッグがすべて開き、運転者も無事でした。
44年生きてきましたが、人生初の救急車、しかもスイスで周りの言葉は理解不能なドイツ語
でも、救急隊員は救急車の中で英語で話しかけてくれ、気持ちが落ち着きました。
こういう場合の対処マニュアルなのかもしれないけれど、救急隊員はたえず何か、
私に話しかけてくれるのです。たとえば
「あなたは、犬をゲージにいれておいてよかったわね。毎日高速道路での事故現場に
立ち会うけれど、犬はそうしておかないと、車外に放り出されて死んでしまうのよ。」とか
「あなたはイタリアに住んでいるのね。スイスの医療体制は完璧だから、
イタリアではなく、この国での事故は不幸中の幸いよ。」などなど。(思わず笑いました。)
その日は脊髄のレントゲンや脳のMRIなどの精密検査を受け、そのまま入院となり
知らない(当たり前ですね。)スイス人のおじさんたちとの病室(大部屋)に移され
ここかどこの病院なのかもわからず、バッテリーが切れそうなiPhone(唯一の持ち物)
を握りしめながら、一睡もできない夜を過ごしたのでした。
事故の翌日の3月5日に、事故現場の近くに住まわれるスイス日本語福音キリスト教会の
メンバーであるご夫妻(ご主人がスイス人、奥様が日本人)の方が駆けつけてくださりました。
ドイツ語通訳をもっての医師との仲介、そして退院の手続き、警察との立会い、犬の引き取りや、保険会社や加害者との交渉、ホテルの確保などを献身的に助けてくださりました。
幸い検査の結果、私たちには、重大な損傷や異常や起きていないと診断され
一週間の安静を条件に退院を許可してもらい、スイスのホテルで経過をみてきています。
残念ですが、オランダでの大切なお仕事も、すべてキャンセルさせていただきました。
車も仕事もなく、人の助けが必要な状態で、静まりの時が与えられていることに
神様からの導きを感じ、天を仰ぎ、感謝しました。
やはり後遺症というものはあるもので、いわゆる【むち打ち症】と言われる外傷性頸部症候群
特有の首や肩の痛みに悩まされています。
まだしばらくは移動はしない方が良いのかも知れません。
今後の事故後処理の行く末(大破した車の保障や、後遺障害の有無など)
解らないことがたくさんありますが、多くの人に助けられ、祈られているからこそ
今日も生かされているのだと、不思議と感謝と平安の思いが与えられています。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。