朝はMのバイク登校に関しての自宅謹慎の申し渡しから始まった。
校長室には、すでに保護者とともにMは来ていた。
校長は、いつものように、激して語ることはなく、Mも神妙に、訓戒を聞いていた。
僕も、短く彼に話をした。申し渡しがひととおり終わってみて気づいた。
校長室のソファーに4才くらいの双子の女の子が座ってお絵かきをしている。
Mの双子の妹。Mは、子供五人の母子家庭の長男だ。
去年は授業料の未納が、問題になった。
中間テストの初日であるとともに、遅刻者指導の初日だった。
心配していたよりも、生徒は決められた時刻までに登校してきた。
M山はやはり来なかったが、しっかりテストには遅れずに参加していた。
中間テスト終了後、ライセンス・アカデミーの西口さんと、進路講演会の打ち合わせ。
最近の特徴は、無認可の専門学校に、生徒が多く流れているのが特徴だそうだ。
たとえば、代々木A
学院やボイスアクター学院(声優養成をうたっている)、
広告などでB’Zのギタリストとかが講師に名を連ねているような、ミュージシャン養成校(?)
のようなところ等に、無批判に吸い込まれてしまう現実。
僕らの時代から、この手の学校ってあったけど、そのころよりも派手にはばをきかせている
。雑誌広告はもちろん、A学院なんてTV.・CMまでやっている。この傾向はこれからも続くみたいだ。
夜、かつて「立美」ともに浪人時代を過ごした天野君に、久方ぶりに電話をした。
今日、1年生の生徒に「先生、天野先生知ってる?中学で、習ってたんだけど..」
と訊かれ、その時にはピンとこなかったのだが、「もしかしてあの天野君が、中学で
教えているのだろうか?」と思ったのがきっかけだ。
案の定、中学で、非常勤講師をしていたのだそうだ。結構長電話をしてしまった。
彼の実家は、写真屋さんで、お父さんは、写真の修整職人として繁盛していたのだそうだ。
たとえば、写真の中の着物などに「家紋」を、描きこんだり、顔が半分しか
映ってない人の写真を、残り半分を書き足して見せたり....。
でもめっきり仕事がなくなった。理由は「PHOTO SHOP」等の、
フォトレタッチソフトの普及のためだそうだ。