ジグマー・ポルケ展

イタリアから約1000キロをひたすら車で北上し、オランダを目指す。

中継地点として投宿したドイツのバーデン・バーデンで思いがけずジグマー・ポルケ(Sigmar Polke)の大回顧展が開催されていた。

 

25年前(1992年)、美大生だったころにはじめて欧州を旅した時に、フランクフルトの美術館で彼の作品に出合い、本当に感動したのだ。

当時はドイツでこのような絵画表現が生まれた近代史的な文脈などは全く理解せずに、ただただその画面の美しさに惹かれたのだ。

伝統的な絵具や素材にこだわらず、化学変化で色彩が移ろっていったような顔料をもちいた幻想的な画面だった。
レイヤーが重なってできる複雑な物語が、ひとつの画面で美しく完結していた。

素直に、自分もこんな風に描けたらと憧れたことを今でも覚えている。
この作家は2010年に世を去った。

僕も残された時間は限られている。
今ならば、表面的な模倣ではなく、自分の世界観での表現が出来そうな気がする。

貧乏美大生としてバックパックで欧州の美術館巡りをしていた自分にも再会した、思いがけない一瞬でした。

投稿者:uttie|Comments (0)

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