眠れないまま蒼い時間をむかえた。
テレビをつける。
珈琲をいれてクラコットにエメンタル・チーズをのせて囓る。
のそのそと動き、髭を剃ったあともボーっとしていた。
いつもより40分近くも遅いモノレールに乗った。
まるでいつもと景色が違う。
始業時間とほぼ同時にオフィスにつく。
上司に適当な言い訳をした。
「申し訳ありません。すこし気分が悪くて途中下車して少し休んでいました。」
大丈夫かい、顔色が悪いよ。
いえ、もう大丈夫なんです。
大事なときなんだ、早めに病院へ行くといいよ。
ええ、様子を見てからにしますけど、大丈夫です。
ランチタイムに外に出ると、晴天の夏日の下でざあざあと雨に降られた。
雨雲なんて何処にもないのに。
右翼の宣伝カーが猛スピードで交差点を駆け抜けていった。
オフィスに戻ると、窓ガラスにバラバラと音がした。
雹だった。
雹?
眼下では、駆け足で待避する人々が見えた。
日射しが強く、まるで現実感がない。
ヘリコプターが向かいに見えるビルの上を旋回している。
バラバラという爆音。
誰かが銃で撃たれたらしいと知らせ。
ビルの右翼事務所に立てこもっているらしい。
あのビルで?本当かい?
帰りの電車で、向かいに座っている男が[ MARIJUANA PICKERS ]というロゴの入った
UNITED GRASS WORKERSのTシャツを着ていた。
同じTシャツを僕も持ってる。だけど、パジャマの代わりだよ。
男は「社会構造と時空概念」というハードカヴァーの本を読んで大笑いしていた。
それは面白いのか?
家に帰り、夕食を終えると自然に眠気がやって来た。
目を閉じれば、今すぐにでも眠りに落ちそうだ。
ここはどこか。