不覚にも風邪をひいた。
授業は無い日なので休みたかったが、
人に任せるわけにはゆかない仕事があった。
M田に僕から伝えるべき事.
「君の家庭は授業料が未納のなので、君は就職活が出来ない」
今まで何度と無く事務長の立ち会いのもとで、彼女の母親と話してきた。
「もし、収入がどうしても少ないなら授業料減免などの手続きをして欲しい」と。
しかし、決して収入が極端に少ないという家庭ではなかった。
駅前の瀟洒なマンションに住んでいて、「今の生活のレベルは落としたくない。」
という理由で、結果的に優先順位の低い娘の学校の授業料が滞りがちなのだ。
最近の授業料滞納は、殆どがこのケース。
「こののままでは、進級できなくなりそうです。最悪の退学処分の対象になります。」
そういう話をすると。「センセイからそのことを伝えてやって下さい」と親に言われる。
実際、昨年退学処分になったY原には僕の口からそのことを宣告した。
彼女は、僕の目の前で顔を被って泣いた。
午後は、体調が悪化し退勤する。
家に帰るとワイドショーは自己啓発セミナーの事件の事をしきりに取り上げていた。
屍の腐敗する様子を、毎日定点観測のように写真におさめつづけるなんて、
デビッド・フィンチャーの映画「セブン」じゃないか。
午後3時に、コビと一緒にベッドにもぐり込み眠る。
NYのライアンにメールの返事を書きたい。
彼は、ブルックリンで小学校の美術の教師になった。
銀杏の木の下で子供達が座り込んで絵を描いている様子を写した画像を添付してくれていた。
銀杏の葉が地面に敷き詰められ、木漏れ日が射している。
黄金の絨毯みたいだ。
その光につつまれてカルトンに向き合っている子供達.
その写真から受けた印象をうまく伝えられ程、
僕には英語が出来ないんだ。
日本語すらうまく使えない。
あしたこそ書くよ。