ミラノにある、通称双子オルガンの教会(Basilica S.Maria delle Passione Milano)
にモーツァルト(Mozart)のレクイエムを聴きに行きました。
レクイエムは、モーツァルトの遺作であり、また未完の作品であったことで知られています。
僕自身、本当に思い入れの強い作品であります。
レクイエムというと、神学的な解釈からいえば「煉獄」って本当に聖書的なものなのか?
という論議があるのですが、ここではその論議にあえて立ち入らないことにします。
モーツァルトのレクイエムとして、通常コンサートやCDなどで知られているものは
弟子のジュースマイヤーが完成させた楽譜(ジュースマイヤー版)によるものが
多いのではないでしょうか?僕の手元にあるレコードやCDは殆どこれです。
しかし、今夜のコンサートはモーツァルト自筆の未完成版スコアによる演奏だったのです。
素晴らしい演奏でした。耳を傾けていくうちに、僕自身が音とシンクロして
教会に溶け込んでいくように感じたのです。
先に述べた、神学的な論争を飛び越えて、そしてモーツアルトの自我を
押しつぶすようにして天から降りてきたような音楽です。
モーツアルトは、確かに晩年、神と対話をしながらこの曲を描いていたのだ。
そう思った矢先、突然演奏が途絶えて、ピシャリとした静寂に教会が包まれました。
モーツアルトが残した楽譜は、そこで筆が途絶えていたのです。
長い沈黙の後、教会に洪水のような徴収の拍手がわき起こりました。
その夜、僕は音楽を言葉で表すことはきっと困難なことだろうなと思いながら
その教会を後にしました。
六年前の今日
四年前の今日
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いやぁ実に粋なことをしますな。私も若かりし頃はこの曲はそのように演奏すべきだろうと思ってました。
でもモーツァルトはこの曲を完成させたかっただろうと考えると、ジュスマイヤー版も当時のオーセンティックなひとつの解であることには間違いないとも思ったりして。ちなみに(ご存知かもしれませんが)モーツァルトのスケッチに基づいて残りを補完したモンダー版というのもあります。Christopher Hogwood指揮の演奏で聴けますので、こちらも聴いてみてはいかが?
>hiwa
Piazzolla: Sinfonia de Tangoのレビューなど
興味深く拝読していたところでした。
モツレクのモンダー版は聞いたことがありません。今度帰国する際、色々CDを聞かせて下さいね。
お、今度の帰国はいつですか? 是非ぜひお会いしましょう。
しかし、我が家の電話の下に置いてある貧相なサーバにわざわざミラノからアクセスして貰っているのかと思うと不思議な気がしますな(我ながらエンジニアの発言とは思えませんが)。