カウンターテナー

countennor.jpg
月曜の夜、ミラノクラシカによるコンサート、今回のプログラムの
ソリストはカウンターテナーの歌い手さんでした。
カウンターテナーとは、成人した男性の歌でありながら
女性の声域の声で歌うことを意味する言葉です。
日本では、「もののけ姫」の主題歌を歌った米良美一さんで有名
「♪もぉのぉのぉ~けぇぇ~たぁちぃだぁけぇぇ~♪」というあの声です。
このカウンターテナーというのは、イタリアと中世ヨーロッパにおける
残酷な歴史の産物という一面があります。
かつて、ローマカトリックの支配する教会では女性が唄うことが禁じられていたため
(教会で女性が歌うのようになった歴史は、わずか500年ほど前からにすぎません。)
ボーイソプラノが美しい少年たちが、成人した時にも女声の音域を保つため
睾丸の摘出を周囲からの強制でされていた時期があるのです。(現在は禁止されています。)
彼らはカストラート(castrato)、すなわち去勢されたものと呼ばれ
実に美しくカウンターテナーで唄ったので、人々の人気を博しました。
ピークには、毎年4,000人以上にも及ぶ7歳~11歳の男子が去勢されたと
記録が残っているそうですが、当時は子供の人権なんてなかったのでしょう。
かのベートーヴェンも、少年時代ボーイソプラノとしても類稀な才能を発揮していたため
周辺の人々からカストラートにされることが望まれたが、父親が反対してくれたことにより
去勢されずにすんだともいわれています。
そんな背景を知っているだけに、美しいカウンターテナーに聴き惚れながらも
足もとから冷たい風が吹いてくるような感覚が呼びさまされてしまいました。
いや、コンサートはとてもよいものでした。
現在の歌い手さんは、トレーニングによって
美しいカウンターテナーを保っているようです。
banner_01.jpg←今日も見に来てくださって感謝

投稿者:uchimura_it|Comments (0)

コメント

  1. hiwa より:

    カウンターテナーとカストラートは異なります。
    カウンターテナーは女性のアルトの声域、カストラートは女性のソプラノの声域です。アルトぐらいの声域ならば去勢されていない普通の男性(特にテナー歌手)でも出せるのでカウンターテナー歌手は現代でもたくさんいます。
    一方、ソプラノの音域になると変声してしまった男性にはほぼ無理なので、去勢せざるを得なかったのです。去勢するとのど仏は降りないので高い声が出るのですが、体は逆にホルモンバランスが崩れて通常の男性より大きい人が多かったようです。つまり肺活量・共鳴部分が大きくなり、それは迫力のある声が出たとのこと。

  2. uttie より:

    >hiwa
    貴重な情報をありがとう。
    カストラートはむしろ体が大きかったのですね。
    日本ではカウンターテナー・ブーム(?)
    再到来と聞きますがどうですか?

コメントしてください

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です