父の墓

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埼玉県の東松山市の外れ、田園と森に囲まれた父の墓を訪れ、小さな礼拝を捧げた。
母がよく墓前に行きたがっていたが、これまで日本に来ていても忙しくて、なかなか
そんな時間をもつことができなかった。
父が逝って、もう四年以上の月日が経ってしまった。
病院で最後に言葉を交わしたとき父はこう言っていた。
「俺は宗教は信じない。カトリックもプロテスタントも。
でも、お前が人前でよく話している愛のことは信じる。
神は愛なんだろう。葬儀はキリスト教式でしてほしい。
そして、お前に葬儀の司式をして欲しい。」
頑固で、我が儘で、自由を愛した、心の優しい男だった。
今は、小さな壺の中に入れられた彼の骨が、この墓石の下で眠っている。
賛美歌の「いつくしみ深き」を歌い
新約聖書のヨハネの福音書5章25~29節を開き、朗読した。
まことに、まことに、あなたがたに告げます。死人が神の子の声を聞く時が来ます。
今がその時です。そして、聞く者は生きるのです。
それは、父がご自分のうちにいのちを持っておられるように、
子にも、自分のうちにいのちを持つようにしてくださったからです。
また、父はさばきを行なう権を子に与えられました。子は人の子だからです。
このことに驚いてはなりません。墓の中にいる者がみな、子の声を聞いて出て来る時が来ます。
善を行なった者は、よみがえっていのちを受け、
悪を行なった者は、よみがえってさばきを受けるのです。

そして、短く祈りを捧げた。
墓標にはこう刻まれている。「我らの国籍は天にあり。」
旅行が好きだった父よ、天国民になった気持ちはどう?
僕もいつかそこで再会する日が、僕の希望だ。
それまでは、天に籍を与えられたものとして、そしてこの国に生を受けたものとして
この国と、この国の人を愛し、この国の言葉で、世界中に「愛」のことを伝えていくよ。
10年前の今日
banner_01.jpg←今日もそこにいてくださってありがとう。

投稿者:uchimura_it|Comments (0)

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