「実家なんて退屈なだけなんだけどね。」
そういいながらも、8月と12月に友人たちは
少しやさしい顔になり、決まって帰郷する。
僕は東京で生まれたけれど、故郷という感覚はない。
だから、そんな年中行事をうらやましく感じる。
僕なりに転々とした土地もあり、冬を過ごしたいと思う、懐かしい場所がいくつかある。
小笠原・那覇・宮崎・仙台・神津・ミラノ・・・
いくつかの土地には、もう自分を迎えてくれる人はいなくて
記憶のなかだけに正月がある。
中央線に乗り、モノレールの街に
ケーキをもって再び訪れた。
ここにも僕の愛する家族がいるのだ。