立川の映画館で「悪人」を観ました。
断崖絶壁の灯台の風景が痛いほど美しい、哀しい群像劇
東京などのシーンは一切なく、佐賀、福岡、長崎といった北九州を舞台に、漁村や
田園を貫く国道、街道沿いの紳士服チェーン、出会い系、ラブホテル、日産GT-R
といった記号で構成される風景こそが日本らしいのではないかと感じ、画面に魅入った。
漁村で生まれ、年収の三倍するスポーツカーを維持し、出会い系サイトに希望を託した
土木作業員の青年は、今も何処かの地方で無数に実在している。
祐一を演じる妻夫木聡は、そんなカウンターパートで生きている青年の魂が憑依している
ようで、彼の方こそモントリオールで賞を受けるべきではなかったかと思いました。
もちろん、深津絵里の演技は素晴らしい。肌年齢もさらけ出し、すごい存在感を示している。
でも、女優の演技だけで映画は成り立つ筈は無い。
あの女優は素晴らしいと感じられるのは、その映画が良かったからだ。
美しい色が引き立つ絵画は、無彩色の絵の具が秀逸な訳で、脇を固めている
柄本明、樹木希林、岡田将生、松尾スズキもたまらなく良いし、映像も良い。
人間の悪の性質を丁寧に描写しながらも、愛を描こうとしている映画で
理解を深めるために原作を手にとるのが楽しみになりました。
10年前の今日
←今日もそこにいてくださってありがとう。
なんだか、またすれ違っておりますが、
おかえりなさい。
原作は持ってます。いかがですか?
ま、まさか買ってしまったとか!
まだなら旅のお供に進呈します。
どちらにしろ読後感を楽しみにしております。
>mitchell
原作はまだ持っていませんので是非!
読後感もレビューいたします。