真夜中にシチリア島からの電話
明け方に目を覚まし、白亜の家々とグランブルーの海を思い浮かべてみた。
その島にはたぶんいけないだろう。
僕はそう思った。
枕元で眠るコビを胸元に抱き寄せ再び目を閉じ、つぎに目を覚ますと
もうすでに日は高かった。
午後は中野の喫茶「クラシック」で、桜桃とintherainの3人でお茶を飲んだ。
夜は、ひとり映画館へ。ベッソンのTAXI2を観る。
とても映画館で観るのにふさわしいアトラクションのような映画だ。
千葉ナンバーの黒いランエボ3台がプジョー406とパリ市街でカーチェイスを繰り広げる。
日本人の悪役は、ヤクザということだが出で立ちが忍者だ。
コミカルで笑えた。
彼はもうシチリア島の映画は撮らないのだろうか。
夜の町では、二人の昔の教え子に呼び止められる。
一人は、街角で居酒屋のティッシュ配っていた。
「センセイ、俺仕事やめちゃったんすよ。いまはそこの白木屋で働いてるんです。」
もう一人は、エンディングロールもあがり照明のついた映画館。
遠くから僕を見つけて、はにかんだ笑みで会釈をしていた。
そう、ここはそういう馴染みの町で、僕は今日もここにいる。
変わり続ける日々のことを今日も書きとめてから眠るんだ。