あせた色のしみや古いキズは
こすってもこすっても消えなかったけど
いつかはみんなおいしくなって
じっくり煮込めばさよならできるね
パンと蜜を召し上がれ / クラムボン
20000717
竹下通りを一本入ったブラームス通りの茶室。
とても久しぶりに会った人が吹き上げた
ガラスの食器をひとつひとつ手に取った。
一品に込めた思いを、彼女自身が語ってくれる。
完全に形が吹き上げられる手前で絵付けが入っているから、
吹き上げられると、繊細な絵柄がガラスの素材感に溶け込んでいる。
高校時代のベタな油彩のタッチからは想像もできない。
イタリアへ飛んでエッチングを勉強しに行ったとは聞いていたけど
その後のことは知らなかった。
作品を通して、その人に出会えるのはとても幸せな時間だ。
こんなにも素材を自分のものにして素敵な器をつくっていたなんて。
「旦那さんはイタリア人じゃなかったの?」
と聞くと
「純粋な杉並区民よ」
と言って彼女は笑った。