20000515

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みるみる雲行きが怪しくなり夕方には、大粒の雨がビルの窓ガラスに
音をたてて叩きつけてくる。
仕事帰り、通勤快速から各駅停車の電車に乗り換えようとしたときに
「センセイ!」と呼び止められた。この春、卒業させた受け持ちの生徒M也だった。
「おお、ひさしぶり!専門学校面白いかぁ?」
「うん、先生こそなんでこんな電車に乗ってるの?」
「いやー、いまちょっと学校はなれて別の仕事なんだよ」
「え、じゃー学校遊びにいってもセンセイいないの?」
彼は、ぼくが降りてきた通勤快速を待っていたところだったので
発車のベルで短い会話が遮られた。
束の間のの再会だった。
M也は、ミュー○音楽院とかいう、
薬用石鹸みたいな名前の音楽学校に通っている。
いわゆるプロミュージシャン養成をうたっている学校。
「専門学校出ればプロのミュージシャンになれると思ってんのか?
ボーカル科ってなんだそりゃ?
ホントにB’Zの稲葉が講師に来ると思ってんの?」
あまりに商業主義な学校の経営姿勢に関する裏情報を聞いていたのと
無認可校の倒産が相次いでいたことそんなネガティブファクターから
在学当時、担任であり進路指導担当だった僕は彼の学校選択に異議を唱えた。
「安易な進路選択をするな」そう僕は言い放って彼とはぶつかったのだ。
今思えば、彼の中にやっと芽生えた夢の若芽を、ブチブチ抜いていたなと思う。
結局、推薦書や調査書を書いたのだが彼は合格しても僕にしばらく合格報告に来なかった。
彼のささやかな抗議だったらしい。
しばらくぶりに会った彼は髪型を変えてLUNA SEAのボーカルを意識していた。
うん、最初はスタイルから入るものだよ。
少し大人びていたM也に会えてちょっと嬉しくなった。

投稿者:uchimura_it|Comments (0)

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