明け方に目が覚めた。
エアコンが切れていて蒸し暑いのと、
のどの渇きのせいだと気づくのに少し間があった。
その瞬間までリアルな夢を見ていた。
コビのお腹が、フォンタナのキャンバスのように裂かれていた。
縫いぐるみの綿が取られたかのように、コビのお腹は空っぽで、
ぺったりと平坦になった胴体にコビの頭が着いている。
コビはまだ生きている。
だけど早く、はらわたを見つけて詰めてあげないと死んでしまう。
そう思っていたときに目が覚めたのだ。
目が覚めた時、コビと妻がいつものように眠っているのを確認して安堵した。
ご主人に先立たれた山本さんの奥さんのことを想像してみた。
昨日の朝、一緒に出かけられたのであろうに、その日の夜にはもう
告別式の日取りまで決められていた。
何十年連れ添った伴侶でさえも、いつも自分の横にいるのは当たり前のことではないのだ。
そう、思いながら出勤の支度をした。