右傾化するイタリア

ukeika.jpg
イタリアの総選挙の結果は、参政権のない僕、すなわち移民として暮らす
アジア人の一人にとっては残念な結果でした。
新聞でも報道されているとおり(日本で、イタリアの選挙の結果など
どれだけ関心を持たれているのかは分らないけれど)北部同盟という
極右政党が政権を獲得し、与党中枢に入り込んだのは特筆すべきでしょう。
「北部同盟」はベルルスコーニ氏が率いる中道右派連合の一翼を担い、
前回06年の得票率4・5%より今回は上下両院で8%台へと躍進
その背景には、イタリア人の意識に、排他的傾向の広まりがあることを指摘する声が多い。
なによりも外国人保護をうたう伝統的な政党は支持されず、のきなみ後退したことでもわかる。
政権を奪回したベルルスコーニは「犯罪の36%は違法移民によるもの」と大きな声で
自らが所有するメディアで繰り返し述べ、公約として違法移民対策をあげ支持を得た。
違法移民というのは、実際のところ国の政策によって大量に生み出されているのです。
すなわち、今のイタリアは外国人登録の機能がろくに働いておらず、正規に滞在許可申請を
している多くの日本人でさえ、一年近く滞在許可証を発行してもらえず、実質違法状態という
現実が多くあります。身近で、とても切実な問題です。
北部同盟なんて、「経済的な問題を抱える南イタリアを切り離して、リッチなイタリアを作ろう!
外国人を追い出して、素敵なイタリアを取り戻そうぜ。」という、ブラック・ジョークみたいな
スローガンを掲げていたのですが、この政党が支持されているとは、笑えない状況です。
「おれたちのイタリアに文句あるなら、日本へ帰れよ。」と言われてしまいそうなので
今日はこの辺にしておきましょう。
大好きなイタリアですから、上に立つ人々が公正な政治をしてくださるよう祈ります。
banner_01.jpg←今日も見に来てくださって感謝

投稿者:uchimura_it|Comments (0)

コメント

  1. MITZ より:

    北部同盟がPDL(かつては「自由の家」でしたが)に加わり
    与党政権に加わったのは、今に始まった話ではありません。
    また彼らは「独立」という以前の主張から、緩やかに地域の主権を
    強める「連邦制」を目指す穏健な方向に一応変わってはいます。
    表向きは、ですよ。
    ただかつてボッシは、閣僚入りしてからも暴言を繰り返し、
    一度ベルルスコー二が解任した経緯があります。
    今回の連立与党も短命化の火種がないわけではありません。
    ま、「稼いだ金は俺たち北のもんだ」と彼らは主張するわけですが、
    それにしたってかつての南部からの出稼ぎ移住者や
    現在は賃金の安い移民の労働力のおかげという状況もあるわけです。
    少なくともちゃんと働き、ちゃんと勉強し生活して
    お金を落としている「移民」に対しては立場を保証するべきだろうと
    いち外国人としては思います。長文失礼。

  2. uttie より:

    >MITZ
    イタリアは高齢化社会の福祉を現場で支えているのも
    東南アジア系(多くはフィリピン)などの外国人ですよね。高景気を謳歌いしているときでさえ、建設現場では
    南や、東欧(多くはルーマニア系)の人々が働いています。彼らの時給は3ユーロほどだとも言われていますから
    搾取の上での高景気はいつまで続くのか疑問です。
    政治の問題のようで、魂の問題でもあるのでしょうね。

コメントしてください

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です