今日もはまった。
もっともらしく美しいキーワードが僕の頭を占領し、かき回す。
「生涯にわたり」「豊かな情操」「感性を高め」「幅広い活動を通して」「適切に活用」
「主体的に」「情報通信ネットワークなどの活用」「提示方法の工夫」「望ましい態度」
「科学的な見方」「主題の生成」「よさを発見」「喜び味わい」「自己実現」「鑑賞の能力」
「自然、自己、社会」「多様な見方」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
おいおい、どれが僕の言葉だっけ?
結局何も生み出せずに、オフィスを後にする。
エレベータは使わずに、階段を駆け下りてみた。
なんだか叫び出したい気分。
帰りの電車では、MDウォークマンのボリュームを少し大きくして
頭の中の掃除を試みる。だけど、うまくいかない。
満員の中央線に密閉されたまま隣の人の吐き出すCO2を僕が吸い込む。
湿度の高い、生ぬるい誰かの二酸化炭素が肺に回る。
慌てて吐き出すと、その吐息をそのまた隣の人が吸い込んでいく。
お願いです。
誰か、車内の窓を開けてください。
僕は、外の空気が吸いたい。
アケテクダサイ。
今日手に取った、
脅迫神経症の子供の指導事例が頭に浮かぶ。
自分の家が、不潔だと部屋に灯油をまいて火をつけようとしたA君の事例。
保護者の方には忍耐を要します。「決してこの場合A君を叱咤してはいけません。
何もいわずに、灯油を拭き取ってください。」
ナニモイワズニ、フキトッテクダサイ。
中央線は、一日の仕事を終えた人間が吐き出す
CO2のシェーカー
ナニモイワズニ、スイコンデクダサイ。