竹橋の国立近代美術館へ行く。
千代田区役所に車を置き、北の丸へ向かう途中にとてつもなく古びたアパートがある。
渋滞の首都高速の高架からも、その建物を見たことがあり、その頃からずっと気になっていた。
居住区エリアの入り口に、唯一真新しい鉄の扉があり、南京錠が厳重にかけられ、
「居住者以外立ち入り禁止(関東財務局)」という札とともに、人が進入することを阻んでいる。
一見廃墟に見えるが、人が住んでいるようでもある。
だけど、皇居のお堀の近くに、時を停めたままこんな居住区があるのはとても不思議
そんなことを思いながら、赤煉瓦の工芸館へ行く。
この館は、明治時代に建てられ、かつて近衛司令部だった。
戦後、文化財として保存され、現在は国立近代美術館の工芸館になった。
だけど、そんな由緒正しい建築物より、都会のど真ん中で、生活の気配を残しながら
朽ちることを拒んでいるアパートの方が気になってしまうのだ。